ゆるむ

ハルヒとか

TOP | RSS | ADMIN
| OLD »

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ハルヒSS『ほしおちる』


久しぶりに。
メルマガ全然配信してないなあ……。

古ハルです。古ハルよりキョン×ハルヒ←古泉が好きです。
でも象さんの方がもっと好きです。

2年生の七夕設定。


ほしおちる


「古泉くん、こんな話知ってる?」
「はい?」
「木の下で話をしていたカップルの目の前に星が落ちてきて、その星に女の人が連れて行かれたの。
そしてその女の人の後を追って男の人も空へ飛び立ったって話」
「……なんですか、それ」

ちょっと吹きかけた笑いをごまかす。
今日は七夕。今は夜。涼宮さんと学校の屋上で居残りだ。
彼女がやりたいことがあるというのでついてきたが……。

「涼宮さん、ところでやりたいことって……」
「もーちょっと!」

外はもう暗い。時間は……7時。今日は雨の降りそうな天気で、空も近い。
こんな日じゃ天の川も見れないな。最後に見たのも覚えてないけど。

「あと少しなのよ」
「あと少し……ですか」
「あ……古泉くん! 上!」

晴れやかな透き通る声で彼女に名前を呼ばれる。
その声を合図にでもしたかのように、だんだん空が明るくなる。

「――あ」

舞台のカーテンが開くように、ゆっくりと雲が動く。
雲の隙間からは綺麗な無数の光が。

「見て、天の川!」

目に焼きつくほどの光。
瞬きをしても離れない。星って、こんなに綺麗だったっけ。

「屋上に来たのはね、この笹を飾るためなの」

そう言って今日、柵に立てかけられた、部活の時間に書いた皆の短冊が吊るしてある笹の葉を指さす。

「一日でも空に近い場所に置いておいたらきっと早く願いが届くわよ」
「今日は、空が近いですもんね」

ざあ、と風が吹いて笹が揺れる。
その時、見覚えのない色の短冊が笹の上の方に見えた。
誰のだろう、これ。
その短冊を持って覗くと、涼宮さんが「あっ」と声を上げた。

『皆の願い事が叶いますように』

――あ。

「こ、古泉くん!」
「誰のでしょうね、これ」
「……うえ?」
「僕らが書いてた時には誰もこれを吊るしてなかった気が……」
「あ、ず、ずっと屋上においてたから誰かが勝手に飾ったのかもしれないわね!」
「そうかもしれません」

笑いをこらえて、短冊を手から離す。
素直になれない、それでも素直な。
心からそう思ってるんだろう、彼女は。

「……彼は、本当に勿体ないですよね」
「? 誰の事?」
「何でもないです」

本当に、本当に損してる人だ。彼は。
すぐ隣の幸せに気付けない。隣の芝は青いってやつだろうか。

「今日はね、古泉君と一緒に天の川を見たかったの。あと、副団長として一緒に笹の葉を飾りにね」
「僕……ですか?」
「本当は全員で見たかったんだけど、みくるちゃん受験勉強があるかなあって。だから代表で古泉くん」
「……ありがとうございます」
「ごめんね、無理させて」
「いえ……嬉しいです」
「にしても、本当にすごい星ねー」

彼女が腰に手を当てて空を見上げる。僕も空を見上げる。
そこにはやっぱりたくさんの星があった。
流れるように、きらきらと光りながら。

「ちゃんと願い事しなきゃ! やるなら絶対一番に叶えてもらうんだから!」
「叶いますよ、きっと」

僕の目を見て、涼宮さんは自信に充ち溢れた顔に変わる。

「絶対よ!」

絶対。絶対、願い事は叶う。
彼女の笑顔を見ると、それも現実になりそうだ。
スポンサーサイト

ハルヒSS『あったかい背中』

古長が書きたい。
自分が書いたことのないカップリングってなんだろう。SOS団で。
キョンとみくるだけかな?

欠席ネタは前も書いたけど、今回はなんとなくキョンで。
もう少し長く書いて、キャラの心情描写細かくしたいなあ。

キョンハル


『あったかい背中』

地球がそろそろ溶けそうなくらい暑い日だった。
先週まで七夕にはしゃいでいたハルヒの姿が、今日は見えない。
俺の後ろの席はむなしく空いており、それだけで状況を理解した。
欠席。
珍しい。ハルヒが欠席なんて。
それは他の奴らも同じ気持ちらしく、谷口が授業の前に話しかけてきた。

「珍しいなあ、おい」
「そうだな」
「まあいいじゃねえか。今日は静かな一日を過ごせそうで良かったな」

肩に置かれた手からは、憐れみが伝わってくる。

「さっさと席に戻ったらどうだ」

手を振り払うと、谷口は嫌な笑いをして帰った。
なんだ、あの笑い方。気味が悪い。



今まで気にしたことがなかったが、後ろの席が空いているというのは
なんだか変な感じだ。ここ最近、席替えで一番後ろの席を当ててないしな。
後ろからシャーペンを走らせる音も、寝息もしない。
それだけのことがなぜこんなにもおかしな感じがするのだろう。

「おい、キョン。聞いてるか?」
「……悪い、何だ?」
「なんだよ、今日一日何回も涼宮の席見てやがって。そんなに寂しいか?」
「んなわけないだろ。そんなに見てもいない」
「嘘つけ」

谷口の戯言をよそに、俺は弁当箱に綺麗に詰められている卵焼きを一つ、口へ運んだ。
……味がしない。

「あ、そうだキョン。今日はSOS団……だっけ、その活動ないよね?」
「ん、んー……」

国木田の一言に、ちょっと動揺した。
そういえばそうじゃないか。今日はハルヒはいない。
なのに、行く気だった。

「……いや、あるんじゃないか?」
「そっか、久しぶりに一緒に帰ろうと思ったんだけどな」
「お前は本当に変な奴だな」

谷口よりは変な奴ではないと思いたい。
俺はまだあいつとは同類ではないはずだ。

「いいからさっさと飯を食え、時間ないぞ」
「うお、まじかよ」

谷口が昼食をとることはなく、昼休みは終わった。



「じゃあね、キョン」
「おう」

国木田に挨拶を返し、俺も教室を出る準備をする。
……そういえば、今日は長門はコンピ研に居るって昨日言ってたな。
「おい、ハル……」

ヒ。と後ろを振り向いたが、そこは無人の机と椅子があるだけだった。
そういえば欠席だったな。
言いかけた言葉をひっこめて、俺は教室を出た。


「心配ですね」

向かいの席に座る古泉が、ハルヒの欠席に対して言う。

「あいつのことだから、ウイルスが勝手に逃げ出すだろ」
「でも、珍しいですね~……。お見舞いとか、行った方がいいのかな……」

こんなに朝比奈さんに心配されて、俺はハルヒが羨ましい。

「大丈夫ですよ、すぐに良くなりますって」

朝比奈さん以外の誰かを慰めるように、俺は言った。

「長門さんもいないことですし……、今日は解散しますか?」

古泉の提案に俺も朝比奈さんも頷き、俺と古泉は先に部室を出た。

「用事があるから先に帰るぞ」
「分かりました」

いつもなら朝比奈さんをこんな奴と二人にさせられないが、今日は仕方がない。
感謝しろ古泉。

いつもより一歩一歩を多めに、学校を出た。
早く用事を終わらせたくて仕方がない。
坂道を降り切ったところで、携帯を取り出す。
あいつの携帯の電話番号は、いくつだったかな。



あわただしく携帯が鳴る。
うるさい。誰だろうこんな時に。

「……はい、もしもし」
『ハルヒか』
「……キョン?」
『当たり前だろ』
「何よ、なんか用事?」

毛布をはぎ取って、ベッドの上に正座をした。
キョンから電話がかかってきたのは初めてだった。
設定したきり鳴らなかった着信音。
そういえば、この着信音は……キョンだけに設定したんだった。

『用事ってわけじゃないんだが……』
「じゃあなによ」
『体調はどうだ?』
「もう平気。熱は下がったわ。明日は……行けると、思う」
『そうか』

……。
あたしもキョンも黙る。この沈黙は緊張のせいだろうか。

「……キョン」
『なんだ』
「……あたしがいなくて、寂しかった?」

……あ、何を聞いてるんだろう。
言ったあとに冷静になる。何でこんな変な事を聞いたんだろう。
熱でおかしくなったのかしら、あたし。

『……寂しくはなかったさ』
「……そっ」

当たり前の、予想していた返事なのに。
こんなに寂しいのは、風邪の効果と、家にあたし以外誰もいないからだろうか。

『あー……でもな』
「何?」
『お前がいないと、背中が寒いんだ』
「は?」

夏なのに何を言ってるんだろう。

『後ろから音がしなくて、変な気もする』
「そう……」
『SOS団も静かで、朝比奈さんも古泉も寂しがってた』
「あんたは薄情者ね」
『しょうがないだろ。……ハルヒ』
「何よ」

『早く元気になれよ』

「……」
『……』
「……言われなくても、もう元気よ」
『そうかい』
「……あ、ありがと、キョン」



早口で最後に何かを言われたかと思うと、急に電話が切れた。
あいつ、最後に何を言ったんだ?
……まあ、今は気にすることでもないだろう。
明日はハルヒが来るんだし、その時にでも。

明日は、背中が暖かくなるように。そう願う。

ハルヒSS『好き・嫌い・嫌い』



古泉とハルヒの話。長いです。
なんかお話になってないけど好きと嫌いで迷う古泉君が書きたかったので……。
執筆時のBGM『Fukuyama Fire』の曲


『好き・嫌い・嫌い』


葛藤がある。

「SOS団は年中無休なんだからね!」
密かに頬を赤らめ、赤くなっている目をこすりながら彼女は言った。
彼女の顔はまるで病気が治った想い人を見るような、そんな優しい顔だった。
それを見て幸せそうに優しく笑っている彼と、泣きながら笑っている未来人。
思えば、涼宮さんはこの約半年の中でとても成長し、とても魅力的な人物になった。
今もそうだ。こんな幸せそうな顔、誰が見たって惚れ惚れする。
でも、僕はそれが嫌だった。
僕が彼女に好意を持っているということが。
僕が彼女を特別な女性として見ていることが。
「古泉君、りんごちょうだい。こんな奴に食べさせるりんごなんてないんだから」
涼宮さんは僕が丸裸にしたりんごにかぶりつく。
彼はそれを懐かしそうに見ている。いつもなら不満そうな顔をするのに。
三日間眠っていただけでSOS団や涼宮さんが恋しくなるほど、彼はこの世界を気に入っていただろうか?
「あたし帰るわ。もう団長としての役目は果たしたし、じゃあね」
荷物をつめて涼宮さんはドアへ向かう。
「ハルヒ」
「何よ」
涼宮さんはドアの前で立ち止まり、彼の方を見る。
「ありがとう」
涼宮さんは病室から静かに出て行った。

その時の涼宮さんの顔は眉を吊り上げ、目を細くして口はへの字という
どう見ても怒っているようにしか見えなかったが、僕には笑うのを堪えているように見えた。
というか、実際そうなんだろう。
ほら。こういうところに僕は惹かれる。
惹かれて惹かれて惹かれ尽くして。挙句の果てに最後まで行きそうだ。
でも、最後まで行くのに葛藤がある。
僕は彼女に惚れたくない。いや、惚れているだろう。それはもうとてもとても。
でも自覚したくない。そう思いたくない。
だって、彼女は僕の中学時代の恨みの対象だったのだから。
「あの、キョン君、涼宮さんはとてもキョン君のこと心配してたんですよ」
「……そうですか」
「だから、優しくしてあげて」
「はい、分かってます」
朝比奈さんもしばらくして病室を出る。この病室に居るのは僕と彼だけになった。
「古泉」
「なんでしょう」
「聞きたいことがある」
「珍しいですね、何でしょう」
彼は数十秒目をいろんなとこに配らせて
「いや、何でもない」
と言いきった。何だったのだろう。
しばらく沈黙が続く気がしたので僕も早々に引き揚げることにした。
「それでは」
「ああ……また明日」
「はい。また明日」
扉を閉めて曲がり角を曲がるとそこには涼宮さんがいた。
「涼宮さん?」
「帰るわよ、古泉君」
涼宮さんは僕にカバンを持たせて早足で歩く。
待っててくれたのか、荷物持ちが欲しかったのか。
どちらにしろ僕には嬉しい事だった。
「よかったですね」
「そうね」
「これで僕も一安心です」
「あたしは最初から知ってたわよ、キョンは絶対に起きるって」
「そうですね」
だからだろうか。彼が無事目を覚ましたのは。
「5人全員いなきゃSOS団じゃないんだから」
「そうですね」
「別にキョンが心配だったから病室に寝泊まってたわけじゃないのに
あいつは何を勘違いしてるのかしら。あたしは団員が心配だっただけなのに」
照れ隠し。多分熱を冷ましたいのだろう。
「あたしは、古泉君が入院することがあったりしても傍にいるわよ」
そんなことないのが一番良いんだけどね、と彼女は言ってそこで一旦話が途切れた。
「その時は、僕が罰金でしょうか」
「そうね、もちろん。だから別にキョンが特別ってわけじゃ……」
さっき、少しだけ嬉しかったのに。また彼の話になってしまった。
傍に居る。それは嘘ではないだろうけど、病室に寝泊まりまではしないだろう。
彼女にとっては彼が特別だからそこまでできる。
「羨ましいですね」
「へ? 何?」
「あ……いえ、何も」
うっかり呟いてしまった。
羨ましい。彼を羨ましいと思ってしまう自分が憎い。
あれほど嫌いだった彼女なのに、どうしてだろう。彼女に想われている彼に嫉妬する。
「……でも、よかった。キョ、団員が全員揃って」
素直に『キョンが目を覚まして』と言えばいいのに。
こういうところが……。

ふと、転校した時のことを思い出した。
高校生になっても僕の憂鬱な気分は晴れず、さらに彼女と同じ学校に転校。
気分は最悪だったし、彼女のことをとても恨んでいた。
でも彼女の笑顔を見ると安心して、それは仕事柄のことだと思ってたけど。
困ったな。自覚してしまった。
好きだなんて思いたくない。僕は彼女が嫌いだ。
憎くて憎くて、それでも憎みきれなくて……。
あんな顔を見てしまったらもうそんなこと思えない。
本当に幸せそうなあんな顔を見たら、あの時の僕が嘘のように思う。

しばらく短編続けます

小説はこっちメインになるかもなあ……。

消失世界を勝手に想像して書いた話です。
消失ハルヒと消失古泉が同じクラスか分からなかったので、別クラス設定。
長いです。
消失でのジョンとの会話は原作と違います。


『彼女の世界は憂鬱で』


「あなたが転校生の古泉一樹くんね?」
彼女は誰よりも早く僕に声をかけてきた。
綺麗な声、きらきらした瞳、腰まである長く綺麗な髪。
転校してきたばかりで、周りが灰色のように見えた僕の目に、綺麗な人が映っている。
「古泉君、あたしに付き合いなさい」
……あとから知った。『涼宮ハルヒは美人で横暴で――……変人だ』と。

「ちゃんと来たわね」
彼女は朝一番に僕の元に来てこう言った。
「あなたが転校生の古泉一樹くんね?
古泉君、あたしに付き合いなさい。放課後、文芸部の部室で待ってるわ」と。
文芸部は二年前に潰れたらしく、今ではただの空き教室だ。
なぜ転校生の僕をこんなところに?
「涼宮ハルヒ」
「え?」
「名前」
「あ、はい、涼宮さん」
涼宮さんは腰まである長い髪を窓から流れる風にたなびかせて、言った。
確実に、はっきりと。
「古泉くん、あなたをSOS団の団員一号に任命します」
力強い声だった。はっきりとした意思。彼女の美しさが声にも滲み出ている。
初めてこの場所の色を見た気がする。色、匂い、彼女。
先ほどまでの鬱蒼な気分が晴れ、すべてに色がついた。
とても不思議な気分だった。

SOS団。それは彼女の完全な趣味の部活。
不思議なもの(宇宙人や未来人や超能力者など)を探し、一緒に遊ぶための部活。
ちなみに僕は『謎の転校生』らしい。
そんなポジション、二ヶ月もすればなくなると思っていたら、その通りだった。
涼宮さんは二ヶ月後、僕にこう言い放った。
「物足りないわね」
「はい?」
「つまらない。普通すぎて、何もなくて」
それは多分、僕に言われたことじゃなかった。
でもその時はどうしても僕に言われたような気がして、心が痛んだ。
そして、彼女への不満がでてきた。
そもそも勝手に彼女が僕に興味を示してきたのではないか。
勝手なことを言ったと思えば、勝手に仲間にされて。

「……会いたいなあ、ジョン」

一目見るだけでいい。と最後に呟き、彼女は黙った。
ジョン? 誰だろう、それは。
彼女に聞こうと思ったが、話しかけないでほしいと背中が言っているような気がした。
僕は黙って彼女の後姿を見つめる。
とても寂しそうで、世界に退屈している背中だった。
さっきまで苛立っていたのに。
今はジョンという人物に妬いている。
どうして彼女にこんなに想われているんだろう。
ジョンとは、どんな人だったのだろう。
いや、そもそも人か? そして、日本人か?
どうしたら彼女にこれほど想ってもらえるんだろう。
もっと彼女に僕を見てほしい。もっと想ってほしい。
なんだか泣きそうだ。

「ジョン? ……何でもないの」
数日後、彼女に『ジョン』の事を聞いたらこう帰ってきた。
彼女がそう言うなら、なんでもないのだろう。
ジョンのことは気になる。彼女の頭の中にあるのは『面白い事』だけのはずなのに
その頭の中にいるジョン。
気にならないわけがない。
ジョンとは、何なんだろう。どんな面白い事なのだろう。
どうしてこんなにもジョンが気になるんだろう。
ああ、いいなあ。
彼女の心の中に住みついているジョンが羨ましくてしょうがない。
今日も彼女はどこか遠くを見つめている。
声をかけたくてもかけられない。
僕は面白いものじゃない。
彼女が溜息をつく。
僕は彼女にこんなことしかさせられない。
せめて、彼女が遠くを見て溜息をつかないように。
遠くにジョンを見つめないように。

「あなたが……ジョンなの?」
ふらっと彼女は僕に体を預けた。
意外にも『ジョン』は近くにいたらしく、なんと異世界からきたらしい。
「うそ……嘘でしょう?」
「本当だ、ハルヒ。俺がジョン・スミスだ」
どう見ても日本人だ。ジョン・スミスというのはペンネームだろうか?
この人が、彼女の心に住みついている『ジョン』
別に面白そうでも何でもない。なのに、なんでこの人は……。
喫茶店に移動し、僕たちは彼からいろいろな話を聞いた。
並行世界の僕は、超能力者らしい。しかも北高生。
そして彼女がいわゆる神という存在で、宇宙人、未来人もいたとのこと。
これは夢か? それとも彼と彼女の仕掛けたドッキリか?
「ふうん……よし、今から北高に行くわよ! その長門さんと朝比奈さんに会うためにね」
彼女は今まで見たこともない笑顔になった後、
勢いよく立ちあがって喫茶店のドアへと歩いて行った。
一緒に歩いていこうとするジョン・スミスに向かって、
「僕が払うのは自分と涼宮さんの分だけですよ」
そう言うとジョン・スミスは意地悪そうに代金を払ってくれたら面白い事を教える、と言った。
結局、三人分の喫茶代を払った。
面白い事、とは僕のあちらの世界での役割だった。
機関や神人、彼女の精神世界――閉鎖空間など。
「それは……羨ましいですね」
「そうか?」
「ええ、そちらの僕は涼宮さんのことを何でも知っていて、涼宮さんも僕を信頼している」
「まあ、そうだな」

「僕は、涼宮さんのことが好きなんですよ」

ん?
「……そうか」
彼は一瞬とても驚いた顔になったが、すぐに表情を戻した。
というより、なんだこれ。
僕は今何を言った。
「分からなくもない。お前がハルヒを好きでもな」
そう、そう言った。
僕は、涼宮さんが好きだ――と
ああ、そうだったんだ。そうなんだ。
彼に対しての嫉妬も、彼女に僕を見てほしいのも。
好きだからかあ。
「……とても魅力的な人ですよ、涼宮さんは」
ふっと笑って白い息を吐く。
僕の吐いた息はすぐにすうっと消えた。多分、僕はこんな感じ。
彼女にとって僕は白。彼は黒、いや、赤?
ああ。
僕も彼女を笑顔にしたい。
憂鬱な彼女の世界を壊せるような笑顔を、彼は彼女にさせることができる。
僕も、僕もできたらな。
そしたら幸せだろう。僕も彼女も。きっと。


ハルヒSS 『ツイン』

  ツイン



ある冬の一日のこと。
あたしの目の前、つまりキョンの席は空いていた。
出席をとっている時岡部は風邪で休みだと言っていた。
キョンが休むなんて。なんとかは風邪引かないんじゃなかったのかしら。
前の席が空いているとなんとなく落ち着かない。
学校を休むなんて。部活を休むなんて。
何で学校に来ないのよバカキョン。

「涼宮さん」
昼休み、学食を食べに行くために教室を出ようとしたら
キョンの友人の一人、国木田があたしに話しかけてきた。
「キョン昨日体調が悪いとか言ってた?」
「……頭痛がするとは言ってた気がするわ」
多分。
「やっぱり」
国木田は後ろに隠れていた谷口を見て溜息をついた。
「やっぱりって? そこのバカと何か関係あるの?」
「ば、ばかとは何だ!」
「ほら谷口、ちゃんと話しなよ」
谷口は咳払いを一つして話し始めた。
「あー、実はな。おとといキョンと朝から遊ぶ約束してたんだよ」
ふむふむ。
「それが俺、寝坊しちゃってさー。キョンのこと3時間も待たせてたんだ」
はははと笑いながら谷口は話す。……おととい?
「おとといって……雨のち雪だったわよね」
「寒過ぎて死ぬかと思ったって言ってたな、キョン」
……そりゃ、風邪引くに決まってるじゃない。キョンもこいつもバカなのかしら。
「……で、何でそれをあたしに言うの?」
「今日の涼宮さん寂しそうで、谷口が気にしてたんだよ」
「ば、バカ言うな!」
寂しそうだった? あたしが?
それじゃあ、と国木田は何か言ってる谷口を無視して自分の席に戻った。
それに続いて谷口も国木田の席に行く。今日は国木田の席でお弁当を食べるのだろうか。
あたしもさっさと教室を出て食堂へと向かう。
あたし、そんなに寂しそうに見えたのかしら。
別に寂しくなんかない。ただ、キョンがいなくて何か物足りない気がするだけ。
別に、別に寂しくなんて。寂しくなんて、ないわよ。
……キョン、今何してるんだろう。
放課後家に寄ってみようかしら。

「キョン君、お休みなんですか?」
お茶を沸かしているみくるちゃんにキョンの欠席を告げると、繰り返した。
校内放送じゃないんだから繰り返さなくてもいいわよ。
「ええ」
「そっかー……寂しいですね」
「……そう?」
「はい」
みくるちゃんはキョンがいなくて寂しいらしい。
「確かに彼がいないというのは、何か物足りない感じがしますね」
ボードゲームを片付けながら古泉君が言う。
せっかく準備していたのに。
「そうね。あたしも物足りない」
外を見ると、雨が降っていた。
昨日は確か曇りだった気がする。最近は雨が多い。
早く風邪なおしなさいよ、バカ。

部活を30分ほどはやく終わらせ、あたしはキョンの家を訪ねた。
二回目のチャイムを鳴らしてから10秒ほどでキョンが扉を開ける。
「遅いわよ」
「今家に誰もいなくてな……すまん」
「結構元気そうね」
「もう熱は下がった。悪いな、雨なのに家にまで来てもらって」
「……暇だったから」
傘で自分の顔を隠す。なんか、こそばゆい。
「明日は部活出れるの?」
「ああ」
「そう」
よかった。
顔を隠したまま一人で笑う。
「悪かったな、心配させて」
「し、心配なんてしてない。団員の健康管理は団長の役目なのよ」
「そうかい」
「じゃあ、またねキョン」
「ああ」
キョンの家から一歩ずつ遠のく。こっそりとキョンの家の方を見ると、扉は閉まっていた。
もう一度扉が閉まっているのを確認して、スキップのようにあたしは走り出した。


「ミーティングを始めます!」
今日は朝からハルヒに振り回された。
昨日のことを責められ、罰として次の不思議探索は
あんたが最後じゃなくてもおごりよなんて言われて。
「よかったです。今日はあなたがいらっしゃって」
「別に俺が休んだって困らないだろう」
「そんなことありません」
古泉はいつも大げさだ。
「昨日の涼宮さんは、とても寂しそうでしたよ」
「そうか?」
俺の家に来た時は元気そうだったが。
「あなたがいなくて寂しかったのでしょう。
僕も元気そうな涼宮さんが見えて安心しています」
そういえば、国木田や谷口も今日のハルヒは元気だと言っていた気がする。
「……そうかい」
団員の健康管理は団長の役目、か。
次の不思議探索の時は、素直におごらせてもらうとしよう。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。