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ハルヒSS 『神様と超能力者』

『神様と超能力者』

その日は腹が立つくらいいい天気で。
窓を通して見る空はあまりにも綺麗だった。
だから、何かある気がして。
何かいいことが起こる気がして、家を飛び出した。
今日は部屋で本を読んでいようと思ったのに。外なんて大嫌いなのに。
それでも、外に出ずにいられなかった。

外に出て十分。僕は早くも家に帰りたくなった。
ほら、何もないじゃないか。
何を期待していたのだろうか。
普段は天気がいいからって外になんか出ないのに。
……外は嫌いだ。
人目のある場所が嫌いだ。
笑わないといけないから、大嫌いだ。
僕が笑顔の無いいつもの表情で歩いていると、前からよく知った人が走って近づいてきた。
「古泉君!」
いつも僕らを振り回してばかりの神様団長様。
彼女は笑顔で僕に近付いてきた。慌てて僕も笑顔を作る。
「やっぱり古泉君よね? よかった。人違いじゃなくて」
見たことのなに冷たい顔に彼女は驚いたのだろう。
僕だって鏡を見て思う。『これは本当に僕なのか?』って。
「よかったわ、知ってる人に会えて。ちょっと相談があるの」
「何でしょう?」
彼女が僕に相談?
あまりにも似合わなく、僕は少し笑った。
「実はね、知り合いがもうすぐ誕生日なのよ。その知り合いってのが男で……」
「プレゼント選びをお手伝いすればいいのでしょうか」
「そう! さすが古泉君。それをお願いしたいの」
知り合いとは誰だろう。彼の誕生日はまだ先のはずだ。
「よろしいですよ。僕も今日は暇ですし」
彼女は僕の返答を聞くと、顔を晴々とさせて「ありがとう古泉君」と、微笑んだ。

「古泉君だったら何貰うと嬉しい?」
「そうですねえ……腕時計やハンカチなどでしょうか」
「そう……男の人ってそういうのがいいんだ」
腕を組んでうんうん、と頷く彼女は頭の隅で何かを考えているようだった。
「お菓子とかは?」
「僕は嬉しいですよ。手作りだとさらに」
「そっか、嬉しいか……」
さっきから質問に答えるたびに彼女は腕を組んで頷く、そして何かを考えるような表情になる。
そしてまた聞いてくる。同じ行動を僕らは繰り返していた。
「あっ、クレープ屋さん。古泉君、何か食べない?」
晴天の空が映る目を彼女は輝かせている。
「いいですねえ、おごりますよ」
「それはダメ! あたし奢ってもらうの苦手なの」
いつも彼に『罰金! おごりよおごり!』と言っている涼宮さんの顔が浮かんだ。
気を使われているのだろうか。
メニューを真剣に眺めている彼女の顔を見て、自然に僕は笑っていた。
「古泉君! 早く早くー」
彼女も笑っていた。

クレープを食べた後、アイスを食べた。
アイスを食べた後、たこ焼きを食べた。
たこ焼きを食べた後、ファーストフード店に入ってハンバーガーを食べた。
ファーストフード店の隣にあるドーナツ屋で、おみやげを買った。
そして最後に、プリクラを撮った。
たったそれだけの一日だった。
「今日はありがとうね、古泉君」
空がオレンジ色に染まるころ、僕と彼女はそろそろ帰ることにした。
「こちらこそ、すごく楽しい一日でしたよ。ところでプレゼントはよかったのですか?」
彼女は知り合いに誕生日プレゼントを買うと言っていた。
でも彼女が今日買ったものはクレープやアイスやたこ焼きや……食べ物ばかりだった。
「うん、明日また買いに来るわ」
「すみませんお役に立てなくて……」
「気にしないで。古泉君と食べ歩きするほうが楽しいと思ったから買わなかったんだもの」
オレンジ色に染まっている彼女の目が、僕の目を見ている。
「今日すごく楽しかったわ。ありがとう」
ゆっくりと、優しく彼女は微笑んだ。
「今日の古泉君の顔、いつもより好きよ。いつもより優しそうで」
じゃあね、とすぐに彼女は走り去っていった。
空の色のせいか、彼女の顔が少し赤くみえた気がする。
今日の彼女は、どこかおかしかった気がする。
いつもは言わないようなことをたくさん言っていた。
「ほっぺにクリームついてるわよ」「古泉君って子供っぽいとこあるのね」
「あ、今の笑顔よかったわよ」「元がいいからね。笑うともっといいわよ」
「古泉君、プリクラ撮らない?」「笑って古泉君」
……今思うと、母親みたいだ。
くすくす、と思い出し笑いをする。
もしかしたら、僕がいつも笑ってないのを知っていたのかもしれない。
ポケットからさっき撮ったプリクラを取り出す。

笑顔だった。僕も彼女も。



終わり
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COMMENT
おもしろかった!!
古泉の誕生日落ちだと思ったら違ったwww誕生日誰w
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